愛されたいのはお互い様で…。
「どちらにも取れますが…、邪推しないなら…、一度説明してある相手と居るところを見られても、あー仕事なんだと思ってくれると判断した。だから一々連絡も必要無いと思った。疑われる事はないと紫さんを信じているから。
邪推するなら、一緒に居ても、仕事の相手だと一度言ってあるから、その関係性に男女の関係があっても、疑われずに済む、堂々として居られる、という事です」
「…はぁぁ」
「あ、まだ落胆するのは早いですよ。彼に話を聞くのが一番です。そしてその言葉を信じる事です。
だけど困った事に、紫さんはその彼の説明が、本当かどうか、信じられる気持ちが微妙になってしまうから困っている。
そんな風に考えてしまう自分もよく解らない、と言ったところですかね?」
今度はスクランブルエッグを食べて、パンをかじった。
私は飲んでいるのかいないのか、珈琲のカップに口を付けてばかりだ。
「はい…もう…そうなんです。好きになられて始めたおつき合いって、何か関係があるんでしょうか…。
人を好きになるって、どんな人か、ある程度知って、いいなあと思うじゃないですか。
確かに、私が言うのも変なんですが、いい男なんです。それは外見もですが、多分、仕事も出来る人だと思ってます。…今、多分て言ったのは職場が違うからで、自分の目で見た訳では無いからです。
…あれ、…そうなると、仕事が出来る人だって、私は、何を基準に思ったんでしょうか…」
話がとっ散らかって纏まらない…。結局、信じられない、解らないばかりだ。
「それは、私も、多分ですが、中々思うように会えないという事が、仕事が忙しいに繋がりますからね。そこからの紫さんの潜在的な判断なんじゃないですか?
ま、実際、出来る人なのかも知れないじゃないですか。
それこそ、気になって確かめたいなら、その会社の誰かに尋ねてみるといい。
個人情報だなんだと言っても、人というのは、ここだけにしてくださいねって、話すものです。いい男の話なら、いくらでも聞き出せると思いますよ?あちらが話したがると思います。
…今、一番大事な事が薄れかけているんですよ。彼が信頼出来る人だって事が」
…。
「彼との出会いは…、隣り合わせたバーでした。
酔い潰れた私を連れて帰ってくれたんです。…連れて帰られたと言った方がその時に合っているのかな…。一目惚れだった…好きだって言われてつき合いました…。その日、関係を持ちました。
今は…他の人にも…、好きだって言ってるかも知れない…なんて、何だか漠然と過ぎってしまうんです。
…別に女の人がいる。その人が、あの仕事で一緒だったって説明された人だろうって」
「…ちょっと深刻に話し過ぎましたかね。
多分、隠された、と思ったんですよね。最初のその女性との事。お互いの信じてる気持ちがすれ違っただけだと思いますよ。
欲しい時に欲しい言葉がなかったからです、お互いにね?」
…。
「要は信じられるかどうかですね」