愛されたいのはお互い様で…。

チン。…はぁ、着いた。
何をしに出掛けたのだろう。疑う気持ちを増幅させただけじゃない。

…あ。
部屋の前に花束が…。何だか、これって…、見ようによっては、事件現場に供えられた花みたいに見えて来た。
しかも、今日は薔薇ではない。大人しめの花だったから特にそう感じたのかも知れない。
林檎のような香り…?
小さい白い花…スーッ…息を吸い込んだ。…カモミール?
ブーケにはワインレッドのカールさせた細いリボンが結ばれていた。
これには見覚えがある。贈り主は解らなくても、このラッピングの仕方はずっと同じ。

…何故、カモミール。…ハーブ…。
…フ。…もう、花言葉も、何も…考えないでおこう。
どんな意味があっても、今の私は…思い込みも激しいし、いい方には考えないマイナス思考の塊だ。
取り敢えず、いつものように水に浸けておこう。
誰かが探しに来るかも知れないから。

…務、部屋に居るのかな。
面倒臭くて、化粧も落とさず、服を脱ぎ捨て横になった。…はぁ。
別に眠くなった訳じゃない。どちらかといえば、冴えて眠れそうにもない。
時間はもう遅い。
だけど、永遠眠れそうにない。…。

むくっと起き上がった。
…二人で一緒だとしたら…やっぱり嫌だ。

【部屋に帰ってるの?】

ブー、…。わ、直ぐ来た。

【そっちこそ、居るのか?】

…は、ぁあ?

【居るわよ】

【どうだか…解らないよ】

はあ?

【居るの、確認して帰ったでしょ?】

【あの時は居た。だけど今は解らない】

何よ…。どんだけ所在確認がしたいのよ。それでも務は疑ってないって言うの?

【…また行ってみたら、紫、出なかったからな】

……え?
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