愛されたいのはお互い様で…。
何言ってるの?また確めに来てたの?
【居る。今、居るもん】
居るもんて…子供か…、こんなの。
【どうだか】
【確かにちょっと居なかった。でもそれは、務の部屋に行ったからよ。行ったけどまだ帰ってなかったから、帰って来て今は居るもん】
【俺は遠回りしたからな】
だから居なかったのか、…本当に?
【ふ〜ん。私、居るからね】
じゃあ、今はどんな状況なのよ。
【俺だって、今は居る】
一人で?居るって言う言葉自体に悪気はない。居るのは居るのだろう。状況は?…誰かと居るとは言わないだけ?…。
【一人で?】
これは言葉通り。疑いだ。
【一人だ】
あ、怒りもせず、直ぐ返して来た。…一人だ、なんて、フン、どんな状況でも、一人じゃなくても、指でタッチするだけで言えちゃうもんね。一人だって言葉の前後に、はあ?とか、当たり前だ!って言葉が隠れてそう。
【私が行った時は女性が居た。お帰りなさいって、開けていきなり言われた。“誰か”と間違ったみたいね〜。
いきなり抱き着かれたりしなくて良かったわ。香水の匂いが移りそうだし】
フンだ。
【何言ってる。作り話も大概だ。誰も居ないはずだ。妄想が過ぎる。そんな事言ってなんになるんだ。揉めたいのか?】
…はぁあ?!あったま来た!………はずだ…?
【揉めたいはずないでしょ?嘘でもなんでもない!居たから居たって言ってるの。務の会社の人だって教えてくれた女の人が居た。間違いなく私が行った部屋は務の部屋で、女の人が居たの!出て来たの!作り話なんかじゃない。私が信じられないなら、本人に確かめてみたらいいでしょ!!】
私の事は妄想で頭がおかしいくらいにしか思ってくれないんだ。…信じてくれないって事だ。
【別にもういい。嘘は言ってない。女の人が居た。私は今、部屋に居る。どっちも信じてくれないならいいから。さようなら】
ふぅ…もう、いいよ…。はぁ……どうしてよ…。私が疑ってばっかりだから?…お返し?
伊住さんと妙な事になったから?
そっちだって正直に言えない理由があるからじゃないの?居たのに居ないなんて…怪し過ぎるでしょ?おかしいでしょ?
こんな夜遅く女の人が居る事も、お帰りなさいって開ける事も。務の帰りを待っていたって事でしょ?
あんな態度…、自分ちみたいな顔でお帰りなさいなんて…。なんでもない人が務の部屋に居るはずがないよ。
全てにおいて、怪しくない理由があるなら、全部ちゃんと言って。解らない部分があると…もう無理…。務が解らないよ…。
ブー、…。あ、務。聞いてくれたの?女の人、居たんでしょ?
【一応、聞いてみたけど、来てないって言ってるから来てないんだろ】
解りました…はい。私よりもその人を信じたという事ですね。私よりその人が大事だって事だ。解りました。…よ~く解りました。
【解りました。でも間違いなく、その人は居ました。私は嘘なんかついてない。私は部屋だって間違ってない。中に居たの。鍵は?鍵も持ってるって関係じゃない。お帰りなさいって喋った声も聞いた。妄想でも幻聴でもない。私はおかしくない。それでも居なかったって言うならもうそれでいい!私よりその人を信じてるんだから】
同じ事ばっかり、しつこいと思ってるだろう、いい加減にしろって。でも私は嘘は言ってない。…はぁ。もう…嫌だ…。感情的に。こんな投げやりな態度…。もう駄目だ。
私はまた繰り返したって事。いつからか知らないが、別の女性が居る人と…恋愛をしていたって事なんだ。……そんな人とばっかり…。ハハ。……はぁ、もう…嫌…。