愛されたいのはお互い様で…。

「二足共出来ましたから、靴の代金、お支払いしないといけませんね」

「そうですね。でも、いきなり来ましたから、今はいいです」

「でも…二足とも、うちにあります。これでは、…私が持ち逃げしたらどうします?」

「フ。おもしろい事を言う人だ。…持ち逃げしてどこに行きますか?」

「あ」

「靴のある場所はここです。なんなら、ずっとお支払いして頂かなくてもいいくらいです」

「え?そういう訳には…」

それは駄目だ。…引き換えになるものが生じる、そうでしょ?

「何度でも、私が、請求しに来れますから」

「それは…駄目です」

その度…。

「駄目ですか…」

シュンとしてる。…本当に、上手…。

「駄目ですよ、お支払は早めに済ませます」

「…紫さん」

「はい」

「今日は、どうされたのですか?」

「あ…はい。……そうですね。疑いから…確かめようとしたばっかりに、知らなくて良かった事に直面してしまいました。でも、それは紛れもない事実で…挙げ句………もう駄目です…私の言っている事は信じて貰えませんでした。その上で、相手の女性の言葉は信じられるみたいで。疑ったままでいれば良かったのか、でもそれだと真実は隠されたままになるし。信じて騙されたままでいた方が良かったんでしょうか…もう。私…こんな風になるばっかりで…はぁ。…もう、人とつき合っては駄目なのかな…」

「違いますよ」

「…え?」

「その相手の人達が駄目なんです。貴女に甘えているんじゃないですかね」

「それは、でも…言い換えれば、甘く見られてるって事じゃないんですか?」

「どうして?」

「私は簡単なんじゃないでしょうか、好きだと言っておけばってことかも…。でも、好きって言われたら、それはそうなんだって思います、思いますよね。
言い方は良くないです…言い方は良くないですけど、始まりは、弱っているところに好きだと言われました。その日に関係を持ちました。そんな始まりで…それからも深く話をする事もなく…続いて来ました。それは、それ以上ない関係性だから、ずっと続いてこれたっていう事なのか…言い換えるなら、好きだと言われて繋がった、…結局はセフレと同じなのかも知れない…。身体の相性がいいと言われたのも…思えたのも…、好きだからそう感じるんだと思っていました。でも、…そういう事に、深い愛情はなくても…、身体は相性がいいなら、いいって、なるんですよね?…すみません、こんな。…私…伊住さんにこんな話…」

してはいけないと思っていたのに…。
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