愛されたいのはお互い様で…。

「信じようとする気持ち、簡単に諦めていいのですか?
つき合う相手は所詮知らない人間です。近くで人となりを知って始めた恋じゃない場合は、信用出来なくて駄目になる事もあります。
その人をよく知らないで始まってしまったら、それを補うには知るしかありません。でもですね、先に疑いたくないからと、見る事知る事に目や耳を塞いでしまっては知る事はできませんよね。
貴女は知ろうとしていなかった。それなのに疑う事ばかりする。
貴女を否定しているのではありません。そういうタイプだと言っているのです。
だから、そんな貴女を理解しているのであれば、相手の男性は、疑われるような謎を作ってはいけないという事です。何から何まで貴女に話さなければ、お互いの信頼は作れない。よく解らないまま、形だけで人を信じようとするのは無理だ。関係性はガタガタするに決まってます。
こうなる前にもう一歩踏み込んでおかなかった貴女も悪い。
それで…、相手の男性を思った時に、失っても別に構わないという程度の存在なのですか?こるは大事なことです」

…解らない。だって別の女性が居るなら…って解ったとき、私は奪い返したいとは強く思わなかった。即、冷めて引いていた…諦めた、無理だと思った。簡単な、その程度の思いなの?。
好きなのに疑うから、思いは薄れていたのだろうか…。そうじゃなきゃ、あの女性から逃げるように帰って来たりしてない。部屋に踏み込むとかしてて当然なんだ…。

「…他に大事な人が居るならって思うと、…駄目です。今までの事とか関係なく、私は気持ちが冷めてしまってます」

「欲張りだし、ずるいのですね。好きな人には他に何かある事も少しも許せない。貴女はどうなんですか?…潔癖、と言えるのですか?私がこれを聞いてることもおかしいのですが」

「……それは。話して謝りました。それでも気分はよくないと思います。……隙があるからだって。そこは私がいけないんです」

「私が強引ですからね。中々かわせないでしょう」

……私の問題だ。

「気持ちか薄れるのは自分が傷つきたくないから引いて冷めようとするんです。傷ついても、なぜ修復しようとする方に頭は向かないのでしょう。勿論、今はまだ冷静ではないから、そこに考えがいかないのかもしれませんが」

誰かを好きな人が、自分を好きだなんて、そんなのはないと思うから。…修復。気持ちをこっちに戻すってこと?無理矢理?そんなの…。

「自分のこと、棚に上げて話すなら、確かに自分が可愛いところはあります。でも今回のことは、言いたい事はぶつけました。その上で私を信じてくれなかったから…。信じてくれないって、無理です」

「…そうですか。では失ってもいい人なんですね?
気持ちを切り替える事は貴女にとっても大事な事です。それは全てをはっきりしてではないと無理だと思いますよ?
人にもよりますけどね。
曖昧で終われる人と、納得がいかないと無理な人…。貴女は後者でしょ?…彼の言い訳、言い分を、もう少し待ってみてはどうですか?彼は彼で事実を語った。でも、それだけが全てではないかもしれませんよ?
貴女はさっき流されなかったでしょ?…確かに正直に空き家だとは言ったが、クリーニングはまだ出来ていないからと言いました。
だから、気持ちに曖昧なところがまだあるようなら、終われないし、進めない。決定的なモノが元々ないからですよ。言いたいことを感情的にぶつけただけでしょ?」

…。

「彼も、見抜けていないモノがあるのかも知れないですね」

「え?」

「その女性…身近に居る人間なのでしょ?だから、慣れ過ぎて油断しているのかも知れませんよ?案外、男性を手玉に取るようなタイプかも知れません。一杯食わされているのかも知れませんよ?
そう考えたら、見えてる人となりは、解らないモノです」

見えてる人となり……あの女性が務を騙しているのかも、と言っているの?…。え?そんな…。

「まかり間違って上手くいったとしても、必ず壊れるものです。騙して手に入れたモノは嘘の上でしか成り立ちませんからね。人を好きだという思いは純粋でも、手に入れるためになると女性がみんな純粋かと言われたら……それは違いますよ?策略家はいます。元に話を戻せば、純粋に好きにならない人もいます」

…伊住さん。
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