クールな外科医のイジワルな溺愛

「彼は大学病院に勤める天才外科医。花穂の主治医なのよ」

なぜかナミ先輩が私の代わりに説明する。

「ええ~。先輩、仕事休んで、ちゃっかり病院でドクターの彼氏捕まえたんですか? めちゃくちゃズルいじゃないですか」

「彼氏じゃないから。捕まえた覚えもないから」

わざと車に轢かれたわけじゃないのに、ひどい言い方。気持ちはわかるけどね。自分が辛いときに楽しいホリデーを過ごしているやつは無条件で憎い。

「じゃあ、どうして朝一緒に出勤してきたの? 合鍵を渡すってことは、一緒に住んでいるってことよね?」

ナミ先輩が鋭く突っ込むので、やっと一口含んだカフェオレを吹き出しそうになってしまった。

「いや……ええと……実はあのひと、私の行き別れの兄なんです」

「ウソつけ」

みんなの突き刺すような視線が痛い。

「うーん、ルームシェア的な? 居候的な? 決して男女の関係じゃないんですよ」

私はエレベーターのないアパートに患者を住まわすわけにはいかないと、黎さんのマンションに保護されたことを話した。普通ではありえない展開に、女子たちはざわめいた。


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