クールな外科医のイジワルな溺愛
「花穂」
背後でドアが開き、その隙間から司が滑りだしてきた。
「この前の返事。そろそろ結論出た?」
詰問するように司が迫ってくる。白昼堂々社内で何を言いだすのか。困っている私に気づいたのか、司が周りを見て歩き出す。
「ちょっとだけ付き合えよ」
そう言い、先を歩き出す司。
そう言われても、私お使いの途中だし、あまりゆっくりしていられないんだけど。
立ち止まっていると、司が振り向いて手招きした。
でもまあ……ずっと返事を先延ばしするわけにもいかないか。こっちから何も言わないことで察してもらおうなんて、やっぱりずるいよね。
意を決して、司の後をついていく。たどり着いたのは、今は無人の小さめの会議室だった。ドアが閉まったのを確認し、こっちから先に口を開く。
「あ、あの、ごめんなさい。私……」
「やっぱりダメか。全然響いてなかったみたいだもんな。覚悟はしてた」
全部言いきらないうちに、司は諦めたようにため息をついた。
「彼氏がいるの」
一応そう補足すると、司は目を閉じてうなずく。
「二年も離れてたんだもんな。その間に彼氏ができたって無理もない」
実際に彼氏になったのは、司に復縁の話を持ちかけられた後なんだけど……余分なことは言わないことにした。