クールな外科医のイジワルな溺愛
「今はまだいいが、麻酔が切れたら強烈な痛みが襲うだろう。それはしばらく続くから、看護師に痛み止めの点滴や注射をしてもらう必要がある。それにCTではわからなかったが、うっかり脳や臓器から出血なんてことになってみろ。お前、ひとりきりで家にいたら死ぬぞ」
「ふぎゃ……」
死ぬなんて。そんなこと、患者に言う医者いる? って言うか黒崎先生ってこんな人だっけ。
去年、父ががんで入院したときの主治医が何を隠そう、この黒崎先生だった。そのときはさっきまでのような冷静な表情しか見たことがなかった。
患者の家族には良い顔しか見せなかったけど、個室で誰も見ていないところではこんなふうに患者に接しているの? 患者は医者に逆らえないと思って。最悪だ、このひと。
「俺はお前の怪我を綺麗に治すのが仕事だ。俺の仕事の邪魔は許さない」
どういう理屈よ、それ。結局私に何かあって責任を問われるのが嫌なだけなんじゃないの。にらみつけると、先生が手を離した。表情は先ほどまでの冷静な黒崎先生に戻っていた。
「わかりましたね。手続きについて詳しい説明は明日看護師がします。質問があれば看護師へ」
憎らしいほど冷静な顔で、淡々と言う黒崎先生。