クールな外科医のイジワルな溺愛
『どうしました?』
「足が、足が痛くて……」
ぶちっとナースコールが切られた音がした。すぐに来た看護師さんは注射器を持っていた。彼女は私の上腕をつかみ酒精綿で消毒すると、何の合図もなく注射針を突き立てた。
「ひいー!」
痛い! これ、筋肉注射ってやつ? 膝も痛いけど腕も痛いー! 痛み止めなのに痛いー!
看護師さんは注射を打つと、さっさとその場を去っていく。いくら夜は人がいなくて忙しいからといって、それはないんじゃない。もう少し優しい言葉をかけてくれても……。
そう思っているうちに、すぐに薬が効いてきた。痛みが和らぐと眠気が襲ってくる。
まぶたを閉じると、父の優しい笑顔が浮かんだ。お父さん、入院中ってこんなに心細いんだね。仕事があったとはいえ、もう少し付き添ってあげればよかった……。
何の涙かわからない雫が頬をつたう。それきり思考は止まった。深い眠りの中へと、意識が落ちていった。