クールな外科医のイジワルな溺愛
部屋の戸をノックされる音で目を覚ます。同じ病院に入院しているせいか、お父さんの夢を見ていたみたい。目じりが冷たかった。
「はい」
ごしごしと目元をぬぐってから返事をする。
「ちょっと芹沢花穂~! あんた大丈夫なの!?」
眉をひそめた顔で入ってきたのは、ナミ先輩だった。そういえば、朝早く会社に連絡したんだっけ。上司に『車に轢かれました』と言ったらウソだと疑われた。看護師さんに代わってもらってやっと事情が通じた。
「いえ、大丈夫じゃありません。膝が割れました」
「うっわ、いたそー。でも歯が折れたりしなくて良かったね。足だけで済んだのね。ほんと、死んだりしなくて良かった……」
ナミ先輩は少なからず動揺しているようで、歯の心配と命の心配を同時にしてくれた。頬を赤くして、ホッとしたような表情をする。
「これ、救援物資ね。寝間着と下着……はサイズがわからなかったからフリーサイズだけど。からだふきと洗面用具と……」
先輩はてきぱきと持ってきてくれたものを備え付けのテレビ台の下に付いている棚に入れてくれる。洗面用具は流しの脇に。