愛され過ぎて…ちょっと引いてます
「怖がらせてしまったか?」

予想と違って優しい声・優しい言葉に驚いて、視線を上げ副社長を見ると、私を覗き込むように少し身をかがめて、不安そうな眼差しを私に向けていた。

強い眼差ししか見ていなかったので、その瞳にドキッとする。

 ーこんな表情するんだー

何だか照れ臭くなり、視線を逸らして「いいえ」と首を振って否定した。

「本当に?」

否定しても再度聞いてくる副社長は意外と優しいのかも?と思い直し、今度はきちんと返事を返すことにした。

「はい、大丈夫です」

私が答えてもしばらくそのまま見られていたけど、納得したのか頷いて「そうか」と言ってくれた。

でも何だろう?今の展開。

いまいち理解が出来ずにいると、まだ目の前にいる副社長がさっきとは違う表情を見せた。

「何か分からないことがあるなら、私に聞けばいい。君は私の秘書なのだから」

その言葉は上司のありがたい台詞だけど、その眼差しは何とも熱がこもっていて...。

何だか距離も近いし....と思っていると、副社長の右手がす~っと上がって、その手のひらが私の左頬に近づいてきた。

その指先がほんの少しだけ頬に触れた瞬間、向井室長がピシャリと声を上げた。
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