愛され過ぎて…ちょっと引いてます
「副社長」

向井室長のいつもより低い声に、副社長の手がピタッと止まった。

それを確認した向井室長はため息をついた。

「冷静になって下さい。セクハラに該当されても知りませんよ」

「何?これの何処がセクハラだ」

たしなめるような言い方をされ、副社長が向井室長を睨む。

でも向井室長は気にも止めない様子で言い返した。

「むやみに触れられれば、千堂さんも困ります。嫌だともハッキリ言い難いでしょう。ご希望通りに千堂さんが専属になって浮き足立つのも分かりますが、自制心もお持ち下さい」

「誰が浮き足立っているんだ」

「副社長です」

「....」

予想外に堂々としている向井室長に、押され気味の副社長。

それでも副社長は怒っていないように見えた。

そんなことを思いながらも、今の2人の言動が思いっきり引っ掛かって仕方がない。

だって私が専属秘書になって副社長が浮き足立つってなに?どういうこと?

確かにさっきこの人事は副社長が決めたと向井室長が言っていたけど...。

状況が読めず副社長と向井室長を交互に見ていると電話が鳴り、向井室長がそれに出た。

すると副社長が私に視線を向けて「悪かった」と言った。

そんな...謝ってくるなんて。

そんな風に素直に謝罪してくれる副社長に、勝手に感じていた副社長の威圧感が薄れていく。。

そこへ「副社長、社長からお電話です」と向井室長が間に入ったので、副社長は自分のデスクへと戻って行った。

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