恋するオフィスの禁止事項 ※2021.8.23 番外編up!※


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業務後、駅西口へ向かうと、すでに桐谷さんの姿があった。

「すみません!お待たせしました!」

「残業だったのか?」

「いえちょっと……」

課長から報告書にダメ出しをされていたせいで、先輩との約束の六時を十五分も過ぎていた。

桐谷さんに「食べたいものは?」と聞かれたけれど、何が正解なのか分からなくて、「肉、魚、中華、パスタ」とずらりと呟いてみたら、「ファミレスしかねーよそんなん」と笑われた。

「ファミレスでいいですよ」

「馬鹿。居酒屋行くぞ。今日飲めるだろ?」

「え、いいんですか!?」

「祝賀会だって言っただろ。アルコール入れないとな」

「はい!ありがとうございます!」

食事会の予定が飲み会になり、ワクワクする気持ちも大きくなっていく。

外訪や店頭調査以外でこうして先輩と並んで外を歩くことなんて滅多にないから、不思議な感じがする。

先輩に彼女がいたら、こんな感じなんだろうか。

……彼女いるのかな? 聞いたことないけれど。



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「お疲れ!」

「お疲れ様です!」

カチンとグラスをぶつけると、桐谷さんはそれを一気に飲み干した。

「先輩いきなり酔っちゃいますよ?」

「いいじゃん華金だし。別に酔って困ることもねーよ」

「……すみません、貴重なお時間をいただいて……」

「はぁ?なんでだよ、今日は水野の企画が初めて通っためでたい日なんだから、育成係の俺が祝ってやるのは当たり前だろうが」

「……先輩って本当に後輩思いですよね。私みたいな部下でもこんなに良くしてくれて」

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