所長による小動物系女子の捕獲計画
友達でも会社関係でも、人間関係において、私は適度な距離が欲しいタイプだ。

だから正直、学生時代のべったりとした女子の友人関係では苦労した。行きたくもないトイレになんで付いて行かないといけないのか今だに疑問だし、お揃いに固執する考え方もまだ理解出来ない。

きっとパーソナルスペースが他の人より広めなんだろう。束縛されたり、したり、もとても苦手だ。

それが愛されてないと感じさせるのか、高校時代の彼ともすぐ別れてしまったし、その後も恋愛は苦手のまま。きっと自分は上手く恋の出来ないタイプだと諦めかけていた。


でも、多和田さんはそんな私の透明な壁をいつの間にやらするりと越えて、気付けば隣に立っていた。

元々、手を握られるのも名前を呼ばれるのも嫌いなわけじゃない。でも異性が相手だと、その先に見える相手からの束縛みたいなものを無意識に感じて、拒否感が出てしまっていたのに。

多和田さんに手を握られても名前を呼ばれても、ちっとも感じない。こんな事は初めてだ。

飄々としてあまり男性っぽさが前面に出た人じゃないからだろうか?
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