所長による小動物系女子の捕獲計画
捕獲は慎重にしましょう

大翔side

「莉乃」

唇を離して名前を呼んだら、驚いた顔からはにかんだ笑顔になって‥‥‥彼女はゆっくりと瞳を閉じた。

その事に叫び出したいくらいの悦びを感じながら、もう一度口付ける。唇を食むように、何度も何度も角度を変えて味わう。
やっと手に入れた、愛しい存在。

十分に堪能してから、名残惜しい気持ちを堪えて、そっと柔らかな身体を離す。その髪を手でゆっくりとすくと、うるんだ黒い瞳と視線が絡んだ。

「行こうか」

「‥‥はい」

ちらりと上目遣いで俺を見てから頷いたその顔は、嬉しそうで恥ずかしそうで、もう一度抱きしめたくなる程、可愛い。

「シートベルト締めて」

少しぶっきらぼうになってしまったけれど、そうでもしないと運転に戻れそうにない。

空気を変えるべく、小さく咳払いをして昔話を始めた。莉乃に俺の事をもっともっと知ってほしいから。

< 65 / 80 >

この作品をシェア

pagetop