これを愛と呼ばぬなら
「席を移ってもかまいませんか? 向こうのテーブル席に」

「ええ、もちろん」

 優子さんはにっこりと微笑むと、私と男性をテーブル席に案内した。おずおずと席に着く私に、男性が微笑みかける。

「注文はどうされますか?」

「……それじゃ、コーヒーを」

「僕にもおかわりをお願いします」

「はい、コーヒー二つね」

 軽やかな足取りで久志さんがいる厨房へと戻った優子さんを見届けて、視線を正面に向ける。目が合うと、その人は僅かに微笑んだ。

 怖いくらいに、綺麗な男の人だ。まるで彫刻のように整った顔立ちに、品の良い佇まい。俳優とかモデルだと言われても驚かない。

 男の人なのになんだか眩しくて、こうして向き合っているだけで、気後れしてしまう。


「おまたせしました」

「ありがとうございます」

 優子さんがコーヒーを運んで来るのを待って、男性は話し始めた。

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