これを愛と呼ばぬなら
恋人に去られた今、無用の長物だとでも言いたいのだろう。「でも」と私は彼を遮った。
「あれは、お返しします。もちろん、新井さんの手に戻れば後はどうしようが自由です。指輪と一緒に、あなたの中でも一つ区切りをつけた方がいいんじゃないですか?」
私がこんなふうに他人のことに口を出すなんて。言葉にしながらいつもと違う自分に驚いてしまう。
「……そうですね。それに、指輪には罪はない」
「そうです。私のところにあっても困りますし」
「それもそうだ。それじゃあ……」
ジャケットのポケットからスマホを取り出そうとして、新井さんが手を止めた。そのまま手を離して、スマホを再びポケットに仕舞う。
「知り合ったばかりで連絡先を聞くのもよくないね。どうでしょう、一週間後の同じ時間にこの席で待ち合わせと言うのは」
「わかりました」
答えながら、そっと息を吐く。新井さんがどうというのではない。簡単に個人情報を明かしてしまうのが、少し怖かった。
「あれは、お返しします。もちろん、新井さんの手に戻れば後はどうしようが自由です。指輪と一緒に、あなたの中でも一つ区切りをつけた方がいいんじゃないですか?」
私がこんなふうに他人のことに口を出すなんて。言葉にしながらいつもと違う自分に驚いてしまう。
「……そうですね。それに、指輪には罪はない」
「そうです。私のところにあっても困りますし」
「それもそうだ。それじゃあ……」
ジャケットのポケットからスマホを取り出そうとして、新井さんが手を止めた。そのまま手を離して、スマホを再びポケットに仕舞う。
「知り合ったばかりで連絡先を聞くのもよくないね。どうでしょう、一週間後の同じ時間にこの席で待ち合わせと言うのは」
「わかりました」
答えながら、そっと息を吐く。新井さんがどうというのではない。簡単に個人情報を明かしてしまうのが、少し怖かった。