へなちょこ魔女は、ぎんいろの瞳に恋をする


「10年…っていうと、ちょうど龍の魔獣をつくったときくらいか?そういえば龍が持つ力を見るために、とりあえず民家でもぶっ壊して適当に住人を殺してこいって言ったことがあったかなぁ」



もう覚えてねぇよ、ははは。

と頭を掻きながら笑ったレックスさんに、これまでに感じたことのない怒りを覚えた。



腹の底から何か熱いものが沸き上がってくる。

強く握りしめた拳がわなわなと震える。

血の味がするほど唇を噛み締めたとき、潤んだ瞳から熱いものがこぼれ落ちた。



パパとママを殺した魔獣をつくったのはレックスさんだった。

私が長年恨んで恨んで、殺したいほどに憎かった魔法使い。



右手をレックスさんに向かって伸ばし、いつでも魔法が繰り出せる体制をとる。

私のすべての魔力を注ぎこんだ魔法を放ってやる。

パパとママを殺した憎き魔法使いを、私の手で殺してやる。



「許さない……‼絶対に許さない……‼」

「おっと、悪いけど俺はメイベルと戦うつもりはないからな。ほら、一応顔見知りだし?俺の手でメイベルを攻撃するのはどうしても気が引けるんだよ」



レックスさんは深いため息をこぼしたあと、くるりと背中を向け「ってことで、俺のかわりにそこの2体の魔獣にメイベルの相手をしてもらうとするかな」と笑いながら、ひらひらと手をふり森の中へ消えて行った。

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