へなちょこ魔女は、ぎんいろの瞳に恋をする


レックスさんを追いかけたいところだけど、私の前に立ちはだかった2体の魔獣がどうも許してくれそうにもない。



「あわわわわ……いくらなんでも2体は無理だよ…」



見上げるほど大きな漆黒の犬が、尖った牙を剥き出しにし唸り声をあげながら私にゆっくりと近付いてくる。

その後ろにいた大蛇は、犬を追い越すと舌をチョロチョロと出し入れしながら、身体をうねらし猛スピードで突進してきた。



「ぎゃあぁぁあぁっ‼」



一目散に背中を向け、付近に生えている大木の太い幹にさっと身を隠しては、両手で頭を抱えこむようにしてしゃがみこむ。



幹に隠れ身をかがめた直後、大蛇が「シャーッ!」と鳴きながら大木に噛み付いた。

大蛇の鋭い牙によって簡単に折れてしまった大木が、大きな音を立てて私の目の前に倒れこむ。



ちょうど私の頭の先すれすれから、ぽっきりと折られてしまった大木。

大蛇の牙があと5センチ下にずれていたら、私の頭は間違いなく飛ばされていた。



間一髪だった、と冷や汗をどっとかいたのも束の間のことで。

今度は前方から、大きな犬が開いた口からよだれを垂らしながらこちらへ向かってくる。



「あああっ……反撃、反撃しなきゃ‼」



慌てて立ち上がった私は、牙を光らせる犬に右手を向けたあとすぐに魔法を放った。

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