へなちょこ魔女は、ぎんいろの瞳に恋をする
「あっはっは、メイベル。まさか俺がつくった魔獣に惚れちまったのかよ?おいおい、ソイツは生きているように見えるけど、所詮はつくりものなんだぞ?」
しゃがみこんで龍の鼻先にぎゅっと抱きついたところで、レックスさんの声が後ろの方から響いてきた。
龍の固い鱗に押し付けていた顔をあげ振り返ると、根本からポッキリと折れた木々を跨ぎながらレックスさんが歩いてくる。
「ルキのことをつくりものだなんて言わないで‼ちゃんと心があるんだから!」
「心があろうがなかろうが、俺がつくった創作物なんだよ、ソイツは」
「レックスさんっ!いったいルキに何をしたの⁉」
さっき聞こえてきた激しい爆発音の正体は、レックスさんが笑いながら現れてきたことによって明確になった。
ルキを10メートル以上も吹き飛ばしたのはレックスさんだ。
さっきの激しい爆発音は、レックスの魔法による音だったんだ。
レックスさんは茶色のオーバーオールのポケットに両手を突っ込み、見慣れただるそうな歩き方で距離を詰めてくる。
レックスさんと私の距離が縮まるにつれ、緊張も高まり胸の鼓動がバクバクと速いテンポで鼓動を打ちはじめた。
「ちょっと躾しただけだよ。創作主であるこの俺から逃げた挙句、いきなり戻ってきたかと思えば俺を殺すだなんてよ。ただの魔力の塊の分際で、俺に楯突くなんてこんな失礼なことってないだろう?」