【BL】お荷物くんの奮闘記
 そこまでを無表情に聞いていたヴェルターが、視線を明後日の方向に投げて口を開いた。


「気に入ったからだ」


「オレを?」


「それ以外に何がある」


「あ、はい」


 彼がすぐ近くまで距離を詰めて、笑みを浮かべる。


「狡猾な人間は好きだ。だが、冷静さを欠いて仲間の元に走っていった貴様のことも、どうしてかは分からんが、好ましく思っている」


 それはつまり、オレが頭脳キャラポジっぽいのに要所要所で詰めが甘い――アホなのが面白いということだろうか。褒められているとは思えないその評価に、しかし満足げに笑みを崩さない彼に何と言っていいかもわからない。


 だが、少なくとも敵意はないように思う。


「ヴェルター、頼みがある」


 水槽の脳、という論理学や哲学の分野で良く例えに使われる仮説がある。

普段生きている世界は、パソコン等の電子機器類が脳に繋げられ、電極によって脳波を操作されて見ている夢の世界であり実際は自分の手足などは既になく、とっくに脳だけの存在になっているというものだ。
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