【BL】お荷物くんの奮闘記
「情報収集って何すればいい?」


「オレはプロフェットと会えないか確認してくる。リュータ、RPGで情報収集するにはまずは?」


「そっか、片っ端から町の人に話しかける、だね! このあたりに遺跡とか洞窟とか知らないか、皆に聞けばいいんだ」


 RPGではないので本当に何も知らなさげな幼女や犬猫にまで話しかける必要はないのだが、そのあたりはリュータも分かっていることだろう。

情報収集にもし金が必要になったらここから出せよと硬貨を目分量で半分に分け、手渡しておく。


「じゃあ、聞き終えたら一旦そこの酒場に集合でいいか」


「はーい」


 良いお返事。というわけで二手に別れ、まずは空の塔を訪ねてみる。顔パスで通れるといいんだが。

魔動式エレベーターを使って最上階手前まで上り、プロフェットの居る部屋へ続く階段が使用できるかを確認する。

特に見張りは居ないようだ。勝手に上っちゃって大丈夫かな。行っちゃえ。


 こそこそと盗人のように壁に沿いながら階段を進む。

ここまで他人に見つかることなく、プロフェットの部屋の前にまで到着した。見張りがいないってことは、鍵でもかかってるんだろうか。入り口に手をかける。


 突如扉が開かれて、顔面をドアで強打する羽目になった。


「いっ……てえ」


「ユウジ。君が来てくれそうな気がしていたから、人払いをしておいたんだ。ようこそ……って、どうかしたかい?」


「いまとてもかおがいたい」


 悪気はなさそうだったので、顔の痛みは頑張って忘れることにする。

こういう痛みこそ回復魔法でぱっと治せればいいんだけど、以前リュータが知らずに用意した毒草を食べて腹痛を起こした時は回復魔法も解毒の魔法も効かなかったのでHPや状態異常に響かず安静にしていればすぐに治るタイプのものは魔法ではどうにもならないようなのだ。


「久しぶり、プロフェット」


 なんとか笑顔を作って押さえていた顔から手を離す。鼻血が垂れた。
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