【BL】お荷物くんの奮闘記
「や、やめとく……」


 苦笑いで辞退する彼にだろうなと肩を竦め、あまり得意ではない火属性魔法を構築する。

ここにノアがいてくれれば、ミカエル戦で使っていたあの大火球を撃ってもらえるんだけど。今居ない仲間のことを考えても仕方ない。目測で扉大の火球を生成し、凍り付く扉の縁に当てた。


 師匠のようにいかにもファンタジーマンガな形の炎の竜が作れたらかっこいいが、形だけ真似ても威力が追いつかないだろう。

あんな才能は自分にはないので大人しく現時点でもっとも効率的な形を取ることにする。


 熱された扉を足蹴に開く。神殿内部はこちらも変わらない構造のようである。左側の通路に進み、凍った滝があるのを確認した。


「あ、これ溶かすのはおれがやるよ」


「こっちは失敗しなかったもんな」


「うう……扉の方も失敗はしてないし」


 リュータが滝の凍結を溶かしている間、神殿内部まで引き続き同行しているプロフェットを振り返る。


「ここから先、魔物が出ると思うんだけど大丈夫か?」


「大丈夫。えっと、ぼく足手まといになるなら引き返すけど……少しくらいなら魔法も使えるはずだから」
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