【BL】お荷物くんの奮闘記
 そっかそっか、リュータはヤる時噛み癖あんのか。爆笑を堪えようと頑張りつつ失敗しているレツが肩を震わせる。


「違うこれは」


「おっ、よく見たら噛み痕に混じって魔法陣発見。逃げられたら困るし潰しとくか」


 彼が遠慮なく口を開け、リュータにさせた時よりも大きく首筋に噛み付いてきた。人間とは思えないほど尖った犬歯が皮膚を貫く。いってえ。肉持ってかれそう。


 口の端に付いた血を舐める彼が、さすがに同じ味まではしねえか、と呟いた。


 その場で引き倒され、白いシーツに血が滲む。その瞬間、電源が入ったまま放置されていた古いテレビに映像が映った。


「リュータ……」


 映像には魔王城内部とおぼしきダンジョンに乗り込むリュータと、後に続くノア、プロフェット、ヴェルターの姿がある。身体の上に乗りあがっていたレツがあからさまに顔をしかめた。


「あーあ、結局全員で来ちまってるし」


 おまえ人質になんねえなあ、返してほしけりゃ一人で来いって言ったのに。

レツが自分を連れ去ってリュータたちに求めた条件を聞いて、おそらくその時点では最良と思われる選択をしたリュータを褒めてやりたい。


「自慢の相棒だからな」
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