【BL】お荷物くんの奮闘記
「そうなの?」


 こちらを向くリュータの目が、明らかに説明を求めている。今はそんな余裕もないので、アイコンタクトには気付かないふりをする。


「確か、ヴェルターだったな。オレを追う必要がねえなら、おまえ何でこんなとこまで来てるんだよ」


「別件の任務だ。ここへは応援要請を受けて派遣されている」


 任務の内容までは、まあ教えちゃくれないだろうな。


 ん? じゃあなんで今部下と一緒に行かなかった? 先ほどの命令からして、部下は解散させたのではなく何らかの作戦に向かわせたはずである。彼がこの場に残る意味が、


「貴様に会いたいという方がいらっしゃる。来い」


「いや行くわけねえだろ」


 やっぱりオレか。今度は何だとあからさまに顔をしかめると、リュータが間に割って入った。


「また無理矢理連れて行くつもりなら……おれが相手になるよ」


「……任意同行だ。神の声を民に届ける神託者から、以前指名手配されていた者を見かけたら連れてきて欲しいと言われている」


 任意同行っておまえ。
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