【BL】お荷物くんの奮闘記



 中央都市の上空、空の塔の最上階に住んでいるという神託者には、名前が与えられていないらしい。


 神託者、プロフェットと呼ばれる彼は神の創造物であり、神の代弁者である任を全うするために生かされている。話では、プロフェットの役に就く者は定期的に廃棄処分・入れ替えをされているという噂もあるのだそうだ。


 旧東京の電波塔そっくりな空の塔に着くまで、ヴェルターには神託者についての客観的な話を聞いた。

人間に祝福を与える神――おそらく、魔に属する者たちから魔王と呼ばれている存在のことだろう――からの言葉を聴き、空の塔から中央都市すべての民に語りかけるのだという。

この街では神はただ崇められる存在ではなく、うまく付き合っていきさらなる文明の発展への足がかりとするものなのだそうだ。


 神託者を通じて神と対話が出来る街だからこそ、超越した存在をコントロールできるという考えに至っている。


 ……電波塔もとい空の塔は、やはり某電波塔と同じくらい高かった。


 自分の足で登らなきゃいけないんだろうな、と遠い目をしていると、自動昇降機があると魔方陣の描かれたエレベーターにしか見えない箱にリュータともども引きずり込まれる。


「え、エレベーターとかあったんだ……」
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