【BL】お荷物くんの奮闘記
「誰かに作られてても、今生きてるんなら一緒だろ。街のうまいもの食べて、おいしかったんだろ」


「うん」


「オレもきっと美味いって感じると思う。同じだ」


 人間駄目になるときは、食事が喉を通らないものだ。言い換えれば、食べるものをおいしいと感じられているうちは大丈夫。自分の感覚で、感動できるのだから。


「ここから出られないんだとしても、感情が凍っていないなら、おまえは人形じゃない」


 人形じゃない。触れられた頬を片手で確かめるように、プロフェットが口の中で、ちいさく言葉を反芻した。
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