【BL】お荷物くんの奮闘記
最後に先ほどヴェルターが部下に話していた、反社会組織とやらについて訊ねようとしたところで、地上から大きな爆発音が聞こえた。
「なんだ?」
「……神の裁きだよ」
続けて、小爆発が立て続けに数回起きる。あちこちで悲鳴と警鐘と、混乱する人々の声が上まで届く。
「何を……」
「人間への加護が消えて、魔への加護が降る。災厄の雨と共に」
展望室のようにガラス張りになった最上階は、空も地上もどうしても目に入ってしまう。見下ろした街は爆発と炎上を繰り返し、賑わっていた街道には逃げ遅れた住民が血を流して倒れている。
「これも王の試みなのか、別の意図があるのかは分からない。ただ、このタイミングで裁きが下るのは予め決まっていたことだった」
「リュータ!」
プロフェットの言葉は気になったが、外に出た相棒のことが気がかりでそれどころではない。階下へ降りる階段に向かおうとしたところで、彼に腕を掴まれた。
「行かせるわけにはいかないよ」
「離せ。あいつは外にいるんだぞ」
「誰も助からない。無駄なんだ。神は絶対だ」
僕に今まで良くしてくれた街の皆が、地上で裁きを受けていても。
「君にも……僕にも、止めることなんて」
腕を掴んでいるプロフェットの手が、震える。彼に向き直って、その肩を叩いた。