【BL】お荷物くんの奮闘記
「どういう意味だ?」


「人間が王の加護を受けて特殊な力が使えるのは知っているだろう。奴の襲撃から、人間のその特殊な力が全て使えなくなった」


 プロフェットが、『人間への加護が消えて、魔への加護が降る』と言っていたのを思い出す。


「人間の利用者が多い施設を壊して、仮面の男が魔の者に『祝福を与える』『長らく魔を見下してきた人間に報復せよ』と語りかけた。仮面の男に便乗するように魔の者による暴動も起きて、街中死体だらけだ」


 流れ弾か光の雨か、破壊されめちゃくちゃになった石畳の街道を駆け抜ける。すぐ横に、先ほどの火球が再び着弾して家屋を燃やした。


「……貴様の仲間は、上空の仮面の男を見るなり激昂して斬りかかっていった。炎の翼で――空を飛ぶ魔法でも使っているんだろうが、街の被害などお構いなしだな」


 あれと戦っているのが、リュータだというのか。ヴェルターに引かれていた腕を振り払って、立ち止まる。


「おい、何をしている」


「悪い。おまえは先に行ってくれ」


 彼の無事が分かった。そして、彼が今得体の知れない強敵と交戦中であるということも分かってしまった。それなら、自分の取る行動はひとつだ。
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