【BL】お荷物くんの奮闘記
呼び止めようとしてくれたヴェルターの声にも耳は貸さず、リュータが戦っている場所の真下まで走る。その間にも流れ弾が襲ってきたが、最低限の回避で直撃さえ避ければ体勢を崩されることはない。
普段の自分にはとうていできない動きだったかもしれないが、火事場の馬鹿力とも言う。たどり着くことだけに必死になっていたからこそ、神がかり的な回避行動ができたのだろう。
遥か上空で交戦していたリュータが、仮面の男の攻撃をまともに受けて地上すぐ近くまで吹き飛ばされた。
「リュータ!」
声も届くはずだったその距離で叫んだのに、彼は虚ろな目でただ仮面の男を見つめて、「かえせ」と呟いた。
「おれの魔法使いをかえせ」
彼の背に浮かんだ炎の翼のようなものが、オレンジ色に揺らめく。「かえせ」ともう一度呟いて、リュータはまた仮面の男に向かっていった。
完全に我を失っている。仮面の男に切りかかって、白亜の剣が弾き飛ばされた。落下したそれが足元に突き刺さる。リュータは、拾いに来るどころかそのまま拳で応戦し始めた。
彼が有利だとは思えない。スマホのステータス画面を開くと、大量にあったはずのリュータの体力・魔力値が秒読みで減少していくのを目にしてしまった。
普段の自分にはとうていできない動きだったかもしれないが、火事場の馬鹿力とも言う。たどり着くことだけに必死になっていたからこそ、神がかり的な回避行動ができたのだろう。
遥か上空で交戦していたリュータが、仮面の男の攻撃をまともに受けて地上すぐ近くまで吹き飛ばされた。
「リュータ!」
声も届くはずだったその距離で叫んだのに、彼は虚ろな目でただ仮面の男を見つめて、「かえせ」と呟いた。
「おれの魔法使いをかえせ」
彼の背に浮かんだ炎の翼のようなものが、オレンジ色に揺らめく。「かえせ」ともう一度呟いて、リュータはまた仮面の男に向かっていった。
完全に我を失っている。仮面の男に切りかかって、白亜の剣が弾き飛ばされた。落下したそれが足元に突き刺さる。リュータは、拾いに来るどころかそのまま拳で応戦し始めた。
彼が有利だとは思えない。スマホのステータス画面を開くと、大量にあったはずのリュータの体力・魔力値が秒読みで減少していくのを目にしてしまった。