君ノいない世界 【完】
「リオ?大丈夫?」

「……あ、ぁ。何?」

ミクの呼びかけに考え事を強制的に終了させた。ミクは優しく微笑む。
普段は馬鹿なのにこういう時だけ、優しくするなんて卑怯だ。とか毒づいてみるが、やっぱりその優しさが嬉しい。
僕には勿体ないぐらいだ。

「ボーッとしてるから話しかけたんでしょ、感謝しなさい」

「あ、ありがと……」

口に沢山の空気を含んで指をピンと僕に向けるミクはいつものミクだった。

「でも、そんな優しい笑顔はタスクとかに見せな。僕じゃなくてさ」

「なんで、タスク?」

こてんと首をかしげてくる。
< 14 / 37 >

この作品をシェア

pagetop