君ノいない世界 【完】
「タスクのこと好きじゃないの?」

「言ってんじゃん、大体タスクには彼女一人や二人はいるし」

口を突き出して怒る。

「一人だよっ」

遠くで抗議の声が聞こえたが二人共無視をする。タスクはしょげてしまったのか、その後抗議はしなかった。

「え、じゃあ……花火は?」

今まで即座に、回答してきたミクが初めて口を噤んだ。
しつこく聞きすぎたのがいけなかったのだろうか。と考えて、ミクを見るとミクは目を伏せて手に持ったまだ火をつけていない花火を見つめていた。

「ご、ごめん」

僕が謝ると、ミクは目を見開いた顔を急にあげた。
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