君ノいない世界 【完】
うっすら光を感じて目を開ける。目の前に見えるのは、ハクだった。
ショートカットの髪。その髪を耳にかける白く長い指。大きな瞳。微笑んでる唇。真っ白な服から伸びる細い腕も全部、全部、ハクだった。
脳が幻覚まで見せてきやがった。
でも、一瞬で良いから、この幻覚をハクだって信じていいかな。同じ世界に、ハクがいるって思っていいかな。

「ハク、さっきのは、心外だな」

『褒め言葉だって』

変わっても意味がないというフレーズが褒め言葉かよ。
ふてくされた僕に、クスクスと笑い声が降り注ぐ。

「ど、どこが。」

『リオはどうせリオだってことだよ?』

「うーん、どういう……」



『どう足掻いたって、諦めたって、リオだから。私の大好きなリオだから。』
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