君ノいない世界 【完】
その通りだった。
どれだけ君にすがろうとしても、どれだけ君を忘れようとしても、根本は僕だから、何も変わらない。
ならば、

「じゃあハクもハクだね」

『え?』

「生きてたって、死んでたって、幽霊だって、幻覚だって、ハクはハクなんだから。」

僕は笑った。
心が穏やかになって、心の笑が零れた。

『生きてるのと死んでるのは違う』

ハクは悲しそうに、対抗する。

「一緒。僕の心の中にハクが生きてる。転住しただけのこと。」

『リオって変なの。』

「変で結構」

ハクはこの世界に飽きただけ。
また、故郷に帰ってくるかもしれない。

「それに、手紙持ってるよ」

『ほんと?』

「手紙ってほど長くないじゃん」

『うぅ、手紙だよ?』

ハクは細い指を口に当てて、「内容は……」とブツブツ言っている。一向に言わないから僕が言うことにする。
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