極上初夜は夫婦のはじまり~独占欲強めな社長ととろ甘結婚いたします~
「じゃ、俺は帰りますね。お疲れ様でーす」

 入れ替わるようにヒロくんが鞄を肩にかけて出ていこうとする。
 涼我とすれ違うときに「仕事は?」などと小声で話していたから、本当は残業があったのかもしれないけれど、どうやらヒロくんは私に気を遣ってくれたみたいだ。

「いきなり来るから驚いた」

 涼我が袋からペットボトルの飲み物を出して手渡してくれるけれど、目を合わせてはくれない。
 ヒロくんが言った通り、なんか変だ。
 ここ最近ずっと、その、歯がゆくて気持ち悪い”変”が続いている。

「涼我……」

「なにか急ぎの用だったか?」

「え?」

「俺、残ってるWEB広告の仕事片づけなきゃなんないから」

 忙しいんだ、なんの用事か知らないが早く言え、用事がないならとっとと帰れ。
 裏に秘められたそんなメッセージを、涼我の言葉と態度で感じ取ってしまった。

「私、なにかした? 涼我……怒ってるよね」

 まったく身に覚えがないのに、なんでこんなに冷たい態度を取られなければいけないのか、そこが全然納得いかなくて。
 訳もわからず、ただつらくて泣きそうだ。

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