極上初夜は夫婦のはじまり~独占欲強めな社長ととろ甘結婚いたします~
「ずっと友達だったじゃない。そりゃあ……私はいろいろ情けないし面倒くさい人間だけど、今まで見放さないでいてくれたのに」

 お願いだから見捨てないで、と涙ながらに訴えている今が一番情けない。
 だけど今はそんなプライドじみたことはどうでもよくて。涼我を失うくらいなら、みっともなくも面倒くさくもなれる。

「もうこれ以上、俺は世話を焼けない。焼いちゃいけないと思う」

「どうして?」

「俺が和奏を傷つけたから」

 私にはその意味が理解できなくて、次々と涙が頬を伝う。

「俺たちあの日……一線を越えただろ」

 涼我はボソリとつぶやき、気まずそうに視線を床へと落とした。
 ”あの日”とは、私たちが朝まで一緒にいた日のことだろう。

「後悔してるの?」

 私の短い問いに、涼我は迷うことなく首を振る。

「それはないけど、悪かったと思ってる。三浦に傷つけられた直後だったのに、俺は和奏を抱いたんだから」

「私がそばにいてほしいって言ったからでしょ」

 三浦さんにアレルギーの海老を食べさせられてひどい目にあい、あのときは心細くて涼我と離れたくなかった。
 引き金を引いたのはむしろ私の方だと主張したけれど、涼我は納得せずに眉根を寄せた。

「それでも、友達ならしないだろ」

 ただの友達関係なら絶対に越えない一線を越えた、だから自分は友達失格なのだと、涼我は激しい自己嫌悪に陥っている。

「俺は和奏が好きだ。決して軽い気持ちで抱いたんじゃない。だからこそ、なかったことにはできないし、友達には戻れない」

 それは、今後私との縁をいっさい切ると、もうすでに決めたように聞こえ、胸が張り裂けそうなほど悲しくなった。
 でも私は一番大切な人を、ここであきらめたくはない。

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