極上初夜は夫婦のはじまり~独占欲強めな社長ととろ甘結婚いたします~
 一方的にそう言うと、涼我は電話を切ってしまった。
 そして言葉通りすぐにやって来て、玄関でドアを開けた私の顔を見るなり目を見開いて驚いていた。

「中で話そう」

 涼我が私の手を引きながら部屋に上がり込む。

「なにがあったんだよ」

 涼我は私をソファーに座らせると、自分は私の真正面の床に座り込み、親指で私の頬の涙を何度も拭う。
 そうだ、涼我は世話焼きな上に、超がつくほど優しい男だ。

「額が熱いな。熱があるんじゃないか?」

 頭も重いままだし、アレルギー反応で熱が出ているのかもしれない。

「なんで泣いてる? この赤い発疹はなんだよ」

 心配そうに私の発疹を気にする涼我の心の温かさに触れると、涙があふれて止まらなくなる。
 いつもこうして私は涼我に助けられているのだ。

「シカトすんなって」

 黙って涙を流す私に、涼我が戸惑った顔をした。


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