俺様Dr.に愛されすぎて
「真木先生!はい、筆箱!」
「ありがとうございます。じゃ、俺向こう戻るから」
そしてそう笑って、真木先生はその場をあとにした。
『大丈夫』、って言ってはいたけど……明らかにやつれてたなぁ。どう考えても大変だよね。
なにか、してあげられることはないかな。
……いや、私にできることなんてないか。
仕事を手伝うことはできないし、癒すようなこともできない。
せめて家のことをしてあげるとか?いやいや、そんな彼女ヅラするようなことできない。
もしかしたら家にはそういう役目の人がいるかもしれないし……。
なんて嫌な想像をして苦笑いをこぼす。
けど、なにかひとつくらい……そう考えて、ふと思い出されるのは先ほどの真木先生の言葉。
『でも藤谷の手料理とか食えばすぐ元気になりそうな気がするんだけど』
手料理……あ、そうだ。
そこからひとつ思いついたところで、宮脇さんに「藤谷さん?」と呼ばれ現実にかえり仕事を再開させた。