俺様Dr.に愛されすぎて



そして、迎えたその日のお昼頃のこと。



「じゃあ私外回り行ってきます!」



いつも以上に元気よく、足早にオフィスを出た私に、部長たちは不思議そうな顔で見送った。



お弁当だけサッと渡して、私も外でお昼食べて、営業先向かって……。

そんなスケジュールを頭の中で組み立てながら、逸る気持ちで車に乗り込む。



そして着いた当麻総合病院で、私はいつも通り裏口から入ると、こそこそと内科のほうへと向かった。

宮脇さんにバレるとまた冷やかされそうだし、出来れば見つからずに済ませたいな。

その思いから余計こそこそと身を潜めて、真木先生の姿を探した。



ていうか、今日外来にいるのかな。もしかして病棟側にいる?それともそもそも休み?

気合いを入れて来たはいいけれど、会えなかったらどうすればいいのだろうと今更思う。



「おい、変質者」

「わっ!?」



すると突然背後から声をかけられた。

驚き振り返ってみれば、そこにいたのは探していた張本人・真木先生だ。

彼は呆れたような顔で私を見る。



「ま、真木先生……どうして」

「今日はこっちで仕事だったから。藤谷こそどうした?仕事か?」

「あ……いえ、その」



目的をたずねられ、口ごもってしまう。

けれど勇気を出して、私は恐る恐る、手元のミニトートを差し出した。



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