俺様Dr.に愛されすぎて
「お待たせいたしました、オムライスセットでございます」
病院近くのオシャレなカフェレストランのテラス席で、私と修二の目の前にはそれぞれ、大きなオムライスにミニサラダが添えられたランチが並べられた。
「うおー、オムライスでっかい!さすが大盛り!女子にはでかかったかもなー……あ、お前いつも大盛り食ってたし大丈夫か」
「ちょっと!いつもじゃなくて時々だから!」
まぁ、これくらいなら食べるけどさ!
「いただきまーす」とスプーンを手に取る修二をちらりと見ながら私もスプーンを持つ。
……ていうか、なにこの状況。
最悪の別れ方をした元カレと、5年ぶりにたまたま行きあって、なぜかランチをしているなんて。
しかも勝手に『オムライスセット大盛りふたつで!』なんてオーダー通してくれちゃって……!
その強引さに巻かれて、渋々ながらも大人しくここにいるしかない自分が情けない。
そう思いながら彼をジロリと睨むけれど、その顔はいたって普通。むしろ笑顔だ。
「いやー、当麻総合病院に来るたびに、ここの店ずっと気になっててさ。けどオシャレな雰囲気だし、男ひとりじゃ入りづらいじゃん?沙織と会えてラッキー!」
「あぁ、そう……」
5年前と変わらない、子供のようなテンションではしゃぐ彼に、脱力してしまう。
あの頃、ひどい別れ方をした相手に普通そんなふうにはしゃげる?
……いや、この男は昔からそうだった。
喧嘩をしてもこんな風に明るいテンションで笑い飛ばして丸め込んで、うやむやにされてしまう。