俺様Dr.に愛されすぎて



「だから、一緒に暮らさないか?」

「……へ?」



そしてその口から発せられたのは、予想とは違う真逆のもの。



「い、一緒に……?」

「あぁ。今の状況は近いうちに落ち着くけど、またいつ忙しくなるかもわからないしな。その時にまたこんなふうに会えなくなるのも嫌だし……まぁ住むところは話し合うか」



一緒に、暮らす?

あぁ、この生活が限界だから、ならいっそのこと一緒に住もうって……え?いいの?私とこのまま一緒にいてくれるの?



「怒って、ないんですか?」

「え?なにに?」

「私、永野くんと一日一緒にいて……それに、さっきあんなこと、言ってて」



きょとんとする真木先生に恐る恐るたずねる。すると彼は『そのことか』というかのように納得する。



「まぁ、面白くはないし、正直ムカつく」



や、やっぱり!

怒ってるよね、そうだよね。あぁ、どうしようとフォローする言葉を探すけれど見つけられずにいると、真木先生は私をそっと抱きしめる。



「けどそれ以上に、沙織の言葉の方が嬉しかったから」

「私の……?」



そう言われて自分の発言を思い出す。



『寂しいのは、それだけ真木先生のことが、好きだから』



って、私、今思えばなんて恥ずかしい発言を……!

しかもそれを真木先生本人に聞かれていたなんて、恥ずかしすぎる。



かああと頬を赤くする、そんな私の反応が読めているのだろう。耳元で彼が「ふっ」と笑う声が聞こえる。



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