俺様Dr.に愛されすぎて
「……この前の、どういうこと」
「え?」
「『え?』じゃない!したでしょ!キス!私にいきなりキスしてきたでしょ!」
最初は冷静に問いかけたものの、理解してもらえず、思わず声を荒らげた。
そこまではっきりと言って、真木先生は「あぁ、それね」と納得する。
「どういうことって、もちろん好きだからしたんだけど」
「はっ……はぁ!?」
好き、だから?
あまりにもあっさりとしたその答えに、一瞬聞き間違いじゃないかと耳を疑った。
「好きじゃない人にキスなんてすると思うか?」
「……真木先生なら」
「ってコラ!どういう意味だよ!」
どういう意味も、そのままの意味だけれど。
真木先生は、じっと私を見つめたまま言う。
「俺、結構本気で言ってるんだけど」
「そ、そんなこと言われても……信用、できない」
本気、だなんて。そんなこと、ありえない。
どうせその言葉も、冗談に決まってる。
今この瞬間の私の反応も、おもしろがっているのだろう。
そんな思いで顔を背ける私に、真木先生は逃さないように私の横に手をつく。
壁と彼の間に挟まれ、逃げ場を奪われてしまった。