俺様Dr.に愛されすぎて
それから、3日ほどが経った木曜日。
仕事を終えた私は、電車とタクシーを乗り継いで当麻総合病院へとやってきた。
車で来るとあっという間だけど、電車だと時間かかるなぁ……。
駅から距離もあるから、バスかタクシーかに乗るしかないし。
けど、今日は営業じゃないから社用車を使うわけにも行かないしね。
そう思いながら見た自分の手元には、適当な紙袋がひとつ。
その中には、先日真木先生から借りた黒いパーカーが入っている。
次の営業のときに持ってきてもいいかなとも思ったけれど、そうすると来週になってしまうし……。
このパーカーを以前彼が着ていたことを思い出し、愛用の服なら尚更早く返したほうがいいだろうと思い、やって来た。
ていうかこの時間っているのかな。もうあがってたりする?
正直真木先生の勤務時間帯などもよくわかっていないから、会えるかどうかもわからず来てしまったけれど。
会えなかったら看護師さんに渡せばいっか。
……この前のことを思い出すと、どんな顔をしていいのかもわからないし。
『……好きなんだ』
あの時感じた愛しさを思い出すと、胸はドキドキとまたうるさくなる。
それをなだめながらタクシーを降りた私は、裏口から病院へ入ろうとした。
すると、ちょうど目の前の出入り口から姿を現したのは真木先生。
薄手のデニムシャツに黒いボトムという私服姿であることから、今ちょうど帰るところなのだろう。
突然の彼の出現に、心臓がドキッと跳ね、私は咄嗟にすぐ近くの柱の陰に隠れてしまった。