俺様Dr.に愛されすぎて
い、いきなり出てくるなんて反則……!
まだ心の準備が!
けど今声かけなきゃ帰っちゃうよね。
いや、むしろこのまま見送って看護師さんに服渡すべき?それもちょっと不誠実?
どうしよう、と悩んでいると、出入り口の方からはカツカツカツと駆け寄るヒールの足音が聞こえる。
「あっ、いたいた!真木先生ぇ~」
その声に彼と同時に目を向けると、黒いパンプスを履いた綺麗な女性……以前も真木先生にベタベタとアタックしていた若い看護師だ。
彼女は太ももほどの短いスカートから細い足をのぞかせて、真木先生に追いつく。
そしてその腕を、彼のたくましい腕に絡ませた。
「今日こそは一緒にごはん行きましょ!ねっ」
「あー……いや、今日はこのあと用事が」
「用事ってなんのですか?ていうか、そろそろ一回くらいごはん付き合ってくださいよぉ」
相変わらず積極的な彼女は、引き気味の真木先生に唇をとがらせ不満げな顔をする。
「もしかして私とごはんに行ってくれないのって、噂のあの人が理由ですかぁ?」
噂のあの人、?
そのひと言に耳をピクリと反応させると、真木先生も同じところが気になったらしく首をかしげる。
「噂?」
「真木先生が溺愛してるって噂の、医療機器メーカーの人!」
え!?
思わず大きな声が出そうになるのをぐっと飲み込む。
医療機器メーカーの人って、私のこと?
ていうか、溺愛って……。
ちょっとそれはオーバーな気がする。そもそも、そんな噂が病院で回ってるの?恥ずかしすぎる……!