俺様Dr.に愛されすぎて



「ていうか、好きとか本当なんですかぁ?その人この前見ましたけど、顔も普通だし、正直真木先生にはつりあわないと思うんですけど」



うっ、なんてストレートな言葉。

本人が聞いているとは夢にも思わないのだろう。だからこそこぼされる率直な言葉に、耳が痛い。



確かに、特別美人ではないけれど……。

余計姿を見せづらくなってしまったし、やっぱりここはふたりが通り過ぎるのを待ってから看護師さんに渡しに行こうかな。

そう思い、手元の紙袋をぎゅっと握った。



「つりあわないとか、誰が決めたんだ?」



けれど、彼から発せられたのは思いもよらぬひと言だった。

私と同様に、彼女も首をかしげ問いかける。



「え?」

「俺は俺の意思で、彼女を好きだって思ってる。それを誰かに否定されたり、評価されるいわれはない」



真木先生の、意思で……私を『好き』と伝えてくれている。

はっきりと言い切られ、胸はまたときめきを抑えきれない。



けれど、その時。それまで彼女を見て話していた真木先生が、突然こちらを振り返る。



「……ってことだから。行くぞ、藤谷」

「え!?」



って、バレてた!?

思わず声をあげて物陰から姿を現すと、真木先生は『やっぱり』というように鼻で笑った。



……あ。姿を見せてしまった。

そんな私の出現により、彼女は気まずそうに渋い顔をして、その場を駆け足であとにする。



「いつから、気付いてたんですか……」

「えーと、藤谷が隠れたくらい?」

「最初からじゃないですか!」



気付いていたなら言ってよ!

そう突っ込むと、先ほどまでの気まずさは吹き飛んで、いつも通りの空気になってしまうから、不思議だ。



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