俺様Dr.に愛されすぎて
「それにしても、今日は珍しくおしゃれしてるんだな。さすが彼氏いない歴5年は気合の入れ方が違う」
「そりゃあもちろん……って、なんで知ってるの!はっ!まさかこの前の聞いてたんですか!?」
「聞いてたもなにも、電話であれだけでかい声で言えば聞こえる」
嫌味っぽく言われて、「キーッ」と反論すれば、そんな私たちを見てその場の全員は笑った。
「真木先生、藤谷さんと仲良いんですね~。ていうか、本当にフリーなんですか?」
「あぁ。本当」
「えー?こんなにイケメンなのにー?」
真木先生の隣に座る女の子のひとり、一番若い子が、楽しげに話しながら彼に体を寄せる。
ぴた、と膝と肩をくっつけて、『私が狙ってます』アピールだろうか。
それを察してか、深田さんと他の子はそれぞれ、自分の隣の男性と時間を楽しむようにお酒を飲む。
すごいな……真木先生にベッタベタ。しかも、真木先生も全く拒まないし。
寧ろいつもより楽しそうな気もする。
そりゃあそうか、若くてかわいい子にくっつかれれば悪い気はしないだろう。
そう思いながらも、つい視線は彼の方を向いてしまう。
手元のグラスの中のビールを飲みながら、チラッと見れば、女の子に対しにこにこと笑う真木先生がいる。
その姿に、以前真木先生が美人な看護師に言い寄られているのを見たとき同様、胸がチクリと痛んだ。