俺様Dr.に愛されすぎて
「来られなくなった、じゃなくて真木先生が誘うのやめたんだよ」
「え?どうしてですか?」
「その先生が『藤谷さん狙う』って言ったから。その途端、『やっぱり俺が行く』って。おまけに俺たちにも、『藤谷には手出しするなよ』って釘まで刺しちゃってさぁ」
え……?
私の、ことで?
驚き目を丸くする私に、彼はますますおかしそうに笑う。
「普段いつも俺らがいくら誘っても『興味ない』で流しちゃうくせにね。ま、よっぽどそばで見守っていたかったんだろうねぇ」
彼は笑って言うと、私からそっと手を離した。
「グラスビールのお客様」
「あ、はい。こっちです」
ビールを持ってきたウェイターから飲み物を受け取り、ひと口飲む。
けれど味よりも、彼の話ばかりで頭の中が埋まってしまう。
私のことで、誘っていた人を断って、彼らにも釘を刺して……。
電話では普通に了承するような言い方をしていたのに。
実は気にしていた、のかな……なんて、都合のいいように考えすぎかも。
『そうかもしれない』、が、『そうだったらいいのに』、に変わっていく。
恥ずかしい、うぬぼれだ。