俺様Dr.に愛されすぎて
バタン、と閉じたドアの音が響くその場には、ベッドの上で戸惑うしかできない私ひとりが残される。
待って、違うの、そういう意味じゃなくて。
そう言いたいのに、引き留めることもできない。
……あんな表情、初めて見た。
体温が冷え込むような、悲しい色を映した瞳。
きっと、傷つけた。
これまで何度もその思いを言葉にしていた彼の気持ちを疑って、傷つけた。
……だって、どうせ裏切る。
どんなにいいことを言ったって、甘い言葉で喜ばせたって、のちに簡単に否定する。
容易く嘘をついて、笑い飛ばしてみせる。
そんな人を、私は知っている。
あの人と真木先生は、違う。
そんなことはわかってる。わかってる、けど、それでも怖いんだ。
その言葉が嬉しいと思うほど、傷つきたくないと強く思う。
信じたい、信じられるかもしれない。
そう、期待が膨らむ分だけ怖いんだ。