俺様Dr.に愛されすぎて
「……はぁ……」
土日明けの、翌週月曜。
いつものように出勤してきた私は、デスクに伏せひとり深いため息をついていた。
あれから二日……せっかくの休日もヘコんで過ごしてしまった。
電話番号知ってるんだから、電話してひと言謝ればいい、そう思うのにスマートフォンを操作する指先は通話ボタンを押せないままだ。
だって、電話かけて出てもらえなかったら、絶対余計ヘコむ。
向こうがたまたま出られなかったとしても、いろいろ想像してヘコむだろう。
電話に出てもらえたとしても、なんて言えばいいかもわからない。
その気持ちと向き合う言葉のひとつさえも見つけられない。
どこまでも私は、臆病なまま。
「おーい藤谷、今日外回りだろ?そろそろ出なくていいのか?」
デスクに伏せたままでいると、先輩が頭上から声をかけた。
外回り……そうだ、今日は病院まわってヒアリングをして、もちろん当麻総合病院にも寄らなくちゃいけなくて……。
「行きたくないです……」
「はぁ?」
真木先生の顔を思い浮かべると途端に行きづらくなってしまい、いっそう深いため息をつくと、先輩は意味がわからないといった声を上げた。
こんな状態で真木先生になんて会えないよ……。
けど、仕事は仕事だ。嫌だろうと行かなくてはならない。
そう渋々、重い腰をあげて席を立つ。