俺様Dr.に愛されすぎて
……なに、その態度。
私にはたったひと言に、笑顔もなくて。他の人には笑って。
脈なしだと思ったら、突き放すの?
彼が繰り返す『好き』の大きさは、そんな程度でしかなかった?
それとも、私がそんな程度にさせてしまった?
どちらも、やだ。
むかつく
……ううん、それ以上に悲しい。
胸が締め付けられて、苦しいよ。
傷つくことが、怖い。だから信じることが怖い。
だけど今はそれ以上に、この胸を締め付ける感情と向き合いたいと願ってる。
そう思ったら自然と足は進んで、その白衣の裾をぎゅっと握った。
「え……?」
真木先生
真木、先生
そう心の中で呼んだ名前が聞こえたかのように、驚いた彼の目がこちらを向く。
「……あぁ、この前言ってた機器の営業?仕方ないな、向こうで話だけ聞いてやるよ」
真木先生は、彼女に「阿部先生にはまたあとで来るから」と体の向きを変える。
え……?
真木先生に営業、なんて覚えのない内容に、首をかしげる。
けれど、真木先生はそんな私の腕を引いて歩き出した。